羊(未)にまつわる格言・ことわざ

   ・・・年始恒例、院長が、首ったけで調べました

      

 

皆様、明けましておめでとうございます。 今年は十二支八番手の未年です。 羊は、全世界的にみても、古くから今日に至るまで、羊毛や皮肉を提供してくれる家畜としてなくてはならない存在で、人類とのかかわりの中で大きな価値を生んでくれています。 そのため、羊がつく漢字も多く、祥、翔、義、美、善など良い意味持つものに用いられています。 羊は、「祥」に通じ、中国の吉祥動物の一つです。 群れをなすところから「家族の安泰」を表すとされ、いつまでも「平和」に暮らすことを意味しています。 「羊」という字は、ヒツジを正面から見たときの、角と上半身を表した形です。 後ろ足までの全体を表した形が「美」で、成熟したヒツジの美しさを表しています。「未」の干支の特徴としては、「穏やかで人情に厚い」とされます。

     

ただ、動物の羊を割り当てられた元々の「未」は、枝が茂っている木の形で、まだ枝が伸びきっていない部分を描いたものだといわれています。未来、未熟、未明、未満などのことばがあります。

    

「未」は、方角ではほぼ南南西に相当、時間では午後の2時を中心とする約2時間。 旧暦6月を「未の月」と呼び(現在の暦の7~8月頃で夏)、様々な作物が成熟する大切な季節で、豊作への願いがこめられています。

    

年始恒例のことわざ調べ、年頭にあたり、羊(未)にまつわる格言・ことわざ・比喩を調べてみました。 ただ、ことわざや故事成句の分野では、「羊」の入ったものは「前向き」なものが感じられないものが多く、「屠所(としょ)の羊」や「群羊を駆りて猛虎を攻む」などは、羊が弱いものの代名詞となっていますし、「羊頭を懸けて狗肉を売る」や「多岐亡羊(たきぼうよう)」では、「困り事」の例に使われたりしています。 年頭の号に載せるには困ってしまいます・・・。

    

●群羊を駆りて猛虎を攻む

羊を集めて虎を攻める。 力の弱い者も集合すれば強力になる。

・・・意味自体は良い意味ですね。

   

●屠所(としょ)の羊

しおしおとして元気を失った者。 屠殺場(とさつば)に引かれていく羊のように死が目前に迫った者、という意味。

・・・情景が目に浮かびます。

    

●羊頭を懸けて狗肉を売る

 

羊の頭を看板に出しておき、その実は狗(いぬ)の肉を売ることから、 見かけだけ立派にして、実質が伴わないたとえ。看板に偽りがあること。

類義語: 「羊頭狗肉」「羊頭を懸けて馬肉を売る」「牛首を懸けて馬肉を売る」「羊質虎皮」

    

●多岐亡羊(たきぼうよう)

方針がいろいろあって、どうしてよいか迷うこと。 もと、逃げた羊を捜しに行ったが、枝道が多くてついに見失ってしまったことから、学問の道が多方面に分かれて、真理をとらえることができないたとえ。 類義語: 亡羊之嘆(ぼうようのたん)

    

●亡羊補牢(ぼうようほろう)

羊が逃げた後で、囲いを修繕するの意から、失敗した後で改善することのたとえ。 あとのまつり。 また、失敗しても、すぐに手当てをすれば過ちを最小限にくいとめられることのたとえ。

     

・・・・・ いやはや、余り良いものがないですね。

あとは無難な言い回しをご提示いたしましょう。

    

●羊腸小径

曲がりくねった小道・山道のこと。 「羊腸」とは、羊の腸のように曲がりくねっているさま。「径」は、道。 類義語: 九十九折、斗折蛇行

    

●蚊虻(ぶんぼう)牛羊を走らす

蚊やあぶのような小さな虫が、牛や羊のような大きな動物にたかって、牛や羊がかゆくて走る出すように、弱小のものが強大なものを動かすたとえ。小さな物でも油断をしていると、それが禍となり大害を引き起こすことがあるというたとえ。

・・・人生における戒めとしましょう!(院長)

      


  

★風邪・インフルエンザに関する情報★

       日経メディカル誌(2014.12)より(改変)

         

☆今回のインフルエンザワクチンの予防効果は?

毎年のインフルエンザワクチンの予防効果はある程度「当たり外れ」があるのが実情ですが、今回は今のところ、現在流行している型と一致しており、さらに、ワクチンの「出来」が良好で(年によって出来・不出来があります)、予防効果が特に良いとのことです。 また、一度接種すると半年程度効果が持続するので、早めに接種した人も春まで効果が期待できます。 ただ、接種しても、感染を完全には防げないが、重症化予防は大いに期待できます。

    

☆インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用効果

インフルエンザでの死亡原因の大半が肺炎で、その原因菌で最も多いのが肺炎球菌です。 インフルエンザワクチン接種とともに肺炎球菌ワクチン接種を行なうことで、肺炎球菌による肺炎だけでなく、全ての肺炎の発症を予防する効果が高まることが分かってきました。 現在、65歳以上の人に対する肺炎球菌ワクチン接種の助成制度が始まっていますが、接種をお勧めします。(詳細はクリニックのホームページや「こころ」誌前号(第88号)をご覧下さい)

      

☆発熱時は解熱剤が必要?

本来、発熱することで免疫力を高めて病原体をやっつけようとする反応であるため、原則的には無理に薬で下げない方が良いのです。 ただ、妊婦さんは例外で、妊娠初期の発熱は胎児に影響が及ぶリスクが高まると言われ、安全に使用できる解熱剤(アセトアミノフェン)を積極的に使用すべきとされます。

     

☆咳には蜂蜜が有効との研究結果

就寝前にスプーン半分~2杯の蜂蜜が、夜間の小児の咳に有効だったとのことです。 なお、成人では、蜂蜜単独よりも蜂蜜入りコーヒーの方が咳を軽くする効果に優れたとのことです。

     

☆ビタミンCの風邪予防・風邪の治りへの効果は?

かつてビタミンCが風邪の予防や治りを早めると言われてきましたが、最近の研究で、その有効性がなかったとの結果が出ました。 (院長)

     


    

◆この1年を振り返って考えたこと◆

     

今シーズンの年末年始は曜日の関係で、年末の休みの期間が少し長く、例年の部屋の掃除などが早く済み、何かと思索する時間がありました(副院長からは、「自分の部屋だけ掃除して終りやね」と言われましたが)。 年末に1年を振り返ると、毎年何人かの亡くなられた患者さんのことを思い出します。

     

この1年、在宅医療で看取らせていただいた方が数人おられましたが、皆、ご自宅や施設で生を全うされ、最後に立ち会えました。 しかし、亡くなった方々の魂はどこに行ったのだろう・・・ 私は個人的には、魂の存在を信じています。 コンピューターに例えて言うならば、肉体がコンピューター本体で、魂はそこへインストールされるソフトのようなものではないだろうか・・・たまたま「自分の体」というコンピューターに「自分の魂」がインストールされて一体化している。 コンピューターは、ソフト(たとえば「ワード」)が働き、文書などを作成し、それがファイルとして保存されるが、人間の場合、長年の個々の経験・記憶といったものが、1つ1つのファイルに相当するのではなかろうか・・・実に膨大なファイルが脳に保存され、そのつど「上書き」される。 そして死を迎えるとしてもそれはコンピューター本体に相当する肉体が壊れて消え去るのみで、元々のソフトとバックアップされたファイルとが残っていれば、新たなコンピューター本体(すなわち別の肉体)へインストールすればまた蘇る・・・そんな「妄想」が次々と湧いて出てきました。

     

折しも、たまたまこのお正月に読んだ本も、死後の世界を肯定する内容でした。 ただ、この本は、第一線で救急医療を担当する医師が、命との向き合い方、人の生き方について、深い洞察を持って書いたもので、内容について非常に共感しました。 自分が「おかげさま」で「生かされている」存在であることに改めて気づく機会となりました。 ぜひ、ご一読されることを強くお勧めします。(院長)

     

 ☆「おかげさまで生きる」(幻冬舎 1000円+税)

    東大病院 救急医学 教授 矢作直樹著