院内報「こころ」
Medical Journal KOKORO
◆当面の休診日のお知らせ◆
当面の休診予定日をお知らせいたします。
お間違えのないようご注意下さい。
*7月:7月7日(土)、7月12日(木)夜診 、7月21日(土)は休診いたします。
*8月:8月26日(土)は休診いたします。
☆夏季休診期間は、8月13日(月)~18日(土)で、この期間は全面休診となります。
*9月:9月1日(土)、9月15日(土)、9月29日(土)は休診いたします。
◎土曜日は不定期に休診いたしますので、ご予約なしに受診される場合は予め必ず電話にてご確認下さい。
★医療制度が大幅に変わるのを患者の皆様、ご存知ですか?★
年金管理のずさんさに国民が目を向けている間に、医療制度の大幅な改変(改悪)が着々と進められています!!
この紙面で一挙にご案内いたします。
1. 来年4月より、全ての75歳以上の方は、
『後期高齢者医療制度』に強制加入となります。
外来自己負担は1割、現役並みの所得の方は3割負担となります。保険料がほぼ全ての75歳以上の方個人個人にかかるようになり、1人あたり平均月額6,200円となる見通し(介護保険料と合わせると月額1万円以上)で、徴収もれのないよう、保険料は年金からの天引きとなります。74歳以下の人とは別建ての医療制度となり、『定額制』の導入が検討されています。すなわち、医療機関にとって、一般の方と同じ医療を行おうと思っても75歳以上の方に対しては治療回数や治療内容を制限せざるを得なくなるということを意味します。さらに、『かかりつけ医』への登録制度導入も検討されており、まずは登録した『かかりつけ医』に受診しなければならず、「勝手に」いきなり病院などにはかかれなくなります。これは「だれでもどこにでもかかれる」という日本の保険医療制度を根本から覆すこととなります。
2. 来年4月より、70~74歳の方の窓口負担 が、1割から2割に引き上げられます。
現役並みの所得の方は3割負担となります。
3. 来年4月より、65歳~74歳の国民健康保険加入者の保険料は、年金から天引きされます。
1・2・3は、来る超高齢化社会の到来を見据えて、医療費の自然増をなるだけ減らそうという「低医療費政策」に基づくもので、これらの医療制度は昨年6 月の国会で自民・公明の与党が強行採決し成立したものです。
4. 来年4月より、堺市の「すこやか健診」がなくなります。
40歳~74歳の方対象の、『特定健診・特定保険指導』が始まります。
『特定健診』とは、今話題の「メタボリックシンドローム」に着目した健診で、医療費抑制のために生活習慣病の予防を目的にその対象者を見つけだし、生活指導してゆく(『特定保険指導』)というものです。ただ、健診項目が生活習慣病関連に片寄っており、たとえば、腎機能関連諸検査の一部(尿潜血反応や血清クレアチニン値)は廃止、貧血等を調べる一般検血や眼底検査なども必須でなくなりました。
病気が生活習慣病だけではないのに、この特定健診の実施のために基本健診がなくなってしまうのは不合理と考えます。さらに、75歳以上の方に対する健診は高齢者医療法により、都道府県が新たに実施することになりましたが、具体的には何もまだ決まっていません。
なお、ガン健診は、今までどおり、市町村が当面継続実施することになりました。
5. 『レセプトオンライン化』の実施で、健康に関する個人情報を国が一括管理することとなります!
レセプトとは、皆さんが各医療機関で受けた医療内容を記した、医療機関が健康保険の機関に請求する請求書のようなものですが、平成23年4月までに、このレセプトをインターネットで診療所から国の中央のコンピューターに送る様なしくみにしなければならなくなりました。
4の特定健診の結果も国が一括管理することと合わせて、健康に関する個人情報がすべて国が一括管理することとなります。個人情報の漏洩問題が十分に解決されていない中、生命保険会社等に利用される危険性があります。
以上の諸制度は大変問題があると考えます。(院長)
昨今の『医療崩壊』に思うこと
医者が足りない!過疎地のみならず、都会でも大変な事態になっています。小児科や産科、さらには基幹科の内科や外科までも閉鎖に追い込まれている病院が、泉州地域などにも広がっています。厚生労働省は、「医者は足りている。偏在しているに過ぎない。」と言い続けています。
『低医療費政策』の結果、世界第2位の経済大国でありながら、医療費は先進国で最低、そして、患者負担は最高の国に成り果てた。一方、先進国の中でも医者や看護師が極端に少なく、特に病院の医師は長時間・過密労働を強いられ、疲弊し、現場から去って行く・・・。
では、開業医はさぼっているのか?私を例に出して恐縮ですが、午前診と夜診以外の時間を、ただのんびりと過ごしているとお考えですか?
在宅医療を行ったり、山の様な書類書き(制度更新のための書類、病院への紹介状、介護保険の主治医意見書、介護業者へのFAXのやりとり・・・)、診察時間中にはできなかったカルテの整理、学校医や保健所等への出務。最新の医療や医学に何とかついて行こうと、各種研修会に土日をつぶすなどして参加。
さらに、曲がりなりにも「経営者」なので、職員との対話や相談、給与計算などなど。毎日、夜診が終わっても諸残務を数時間行い、帰宅は通常午後11時~午前1時(在宅患者さんからの要請で、夜診後に往診に出かけることも時々あります。)。それからの「夕食」なので、肥る一方。こんな自分が、患者さんに生活指導するなんて・・・と自嘲する毎日。それでももっと働けと言うのですか?
(すみません、つい、興奮してしまいました)
また、患者さんの医療を受ける権利がますます侵されていくことも重大です。
上の方で書きましたが、特に75歳以上の方がまずは医療費抑制のターゲットにされ始めました。国は次のように言いたげです・・・
『世界一の長寿国になったから、国としてもう長生きを目指すことはやめよう。75歳に達したら十分「長寿」で、それからの病気は最低ラインの治療で我慢してもらおう。病院からはできるだけ早く退院してもらって、金のかからない在宅での医療だけ優遇しよう。金のかかる最先端の医療なんてものは、高額の自費負担ができる人だけが受ければ良い。40歳からは生活習慣病にならぬように、まずはしっかりと個人の健康情報を把握し、予備群の人には将来できるだけ医療費を使わずにいけるよう、しっかりと指導する。それでも生活習慣病になる人はその人の「個人責任」だから後は知らない。』
・・・「この国はいつからこんな冷たい国になったのか」とおっしゃった方がいたが、日本は全くその通りになりつつあります。
医療の危機はまったなしの状況です。
この状況を少しでも打開するために、今後署名活動などのご協力をお願いすると思いますが、その時はよろしくお願いいたします。(院長)
☆☆☆院長お勧めの本☆☆☆
◇日刊工業新聞社:「医療立国論」(大村昭人著)1,800円
副題に、「崩壊する医療制度に歯止めをかける」とあります。前述いたしましたように、日本の医療は崩壊寸前ですが、なぜこういう事態に陥ったのか、日本の医療政策をどういう方向に持って行くべきなのか、わかりやすく解説されています。
◇サンガ新書:「怒らないこと」(スマナサーラ著)700円
「「怒り」は人間の不幸そのもので、怒ってよいことなど何もない・・・常に喜びを感じながら、明るく楽しく生活するためには?
心構え次第で誰でも幸福に生きることができます。」と、仏教の長老が平明に解きあかします。
この本に書かれている様な人間になりたいと思いました。
◇サンガ新書:「妻のオナラ」(三浦朱門著)700円
変な題名ですが、恋愛から壮年期、死の準備期間に至るまでの、夫婦円満の秘訣がおもしろおかしく書かれています。 単なる夫婦円満のお話ではなく、人生論と言っても良いでしょう。
編集後記
今号は、現実に起ころうとしていることに目を向けていただきたく、少々悲観的な内容になってしまいました。
少々力が入り過ぎた所もございますが、ご容赦ください。(院長)