皆様、明けましておめでとうございます。 

 今年は酉(とり)年ですが、酉は特にニワトリのことを指すそうで、新年1番に鳴く鳥のために縁起が良いそうです。 

 今年の干支は「丁酉(ひのととり)」で、丁は「充実している伸び盛り」を表す一方、酉は「成熟しきった状態(これ以上成長しない状態)」を表すとのことで、矛盾した組み合わせですね。 いわば「頭ではもっと前に進みたくても、体がついていかない状態」です。 干支の意味を踏まえ、「頭でっかち」にならずにはやる気持ちを抑えつつ冷静に、「地に脚が着いた」日々を過ごすようにしたいものですね。(院長)

        


       

◆ こころ誌第100号発刊を迎えて ◆

     

 昨年秋に当クリニック開院20周年を迎え、さらに当院の院内報こころ誌が今号で第100号を迎えました!  ここまで続けて来れたのもひとえに皆様方のお陰と一同大変感謝しております。

     

 今号は記念特集号として、当クリニックが満20年を迎えたことにちなみ、スタッフ各自がこの20年を振り返って想うところを書いてもらいました。各スタッフの記事を読んでいただきながら、皆様も「来し方」を振り返り、「行く末」、「これから」を考える機会にしていただけると幸甚に存じます。

     


    

 ★☆ この20年を振り返って、 

          しみじみと想うこと ☆★ 

    

♠ 院長 嶋田 一郎 ♣

 旧国立泉北病院が近大に委譲されることが正式に決まった時に開業医となる決心をしました。 元々開業医になるつもりがなかったために自己資金があまりなく、銀行からの融資が不可欠でしたが、世はバブル崩壊直後の時期で銀行の評価が厳しく、自宅や実家を担保に差し出しても時価の6割しか評価してもらえず資金が不足し開業を諦めかけました。 

 そんな中、現在の取り引き銀行の当時の融資担当者が、「先生の病院でのご評判はよく聞いてました。きっと開業しても成功されるでしょう」と、不足分を補う額をさらに融資していただきました。 開院20周年を迎えた際、この元融資課長さんにお電話して改めてお礼を申し上げ、お祝の言葉をいただき、感慨にひたりました。

 この20年、患者さんを始め、皆様に育てていただきました。 今ではまだまだ力不足ながら、地域の諸活動(医師会、保険医協会、地域の多職種の方々との地域作りの活動、講演やシンポジウム等)をさせていただいております。 ご恩返しのつもりでまだまだ頑張って行きたいとおります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

     

♥ 副院長 嶋田 文子 ♥

 昨年10月1日でクリニックは開院20年を迎えました。 ひとえにクリニックを支えていただいた、患者様、業者の方々、スタッフのおかげと感謝しています。 

 実はわたくしは開院当初は大阪市内で勤務しており開院時にはクリニックでは勤務をしていませんでした。 しばらくして在宅を手伝うようになり、また市内の医院を退職後午前の診察をするようになりましたが、子供たちが小さかったので夜診はしばらくしていませんでした。 現在のように全時間帯勤務するようになったのは約10年前からです。 

 現在院長の診察はすべて予約制にしており、私のほうは予約なしで来られた順番に診察しております。 院長は神経内科という特殊性からお一人お一人に時間がかかる患者さんが多いためゆっくり見させていただくために予約としておりますが、普段院長が見ている患者さんも臨時で来られた時は私が対応するという形をとっています。 患者さんにはそういう事情を受け入れていただき、非常に感謝しております。 

 スタッフにも恵まれ、現在今までで一番充実した嶋田クリニックであると自負しております。 今後も皆さまのかかりつけ医として1人1人の患者さんを大切に丁寧な診察をしてまいりたいと考えます。 今後とも嶋田クリニックをご支援よろしくお願いいたします。

    

♥ 調整マネージャー 嶋田 和子 ♥

 私は20年奈良から通勤しています。 最初の頃は2時間かけて電車通勤。 今は高速道路で運転も上手くなり(笑)頑張っています。

 私自身音楽大学を卒業しており、10月の記念イベントでは自慢の声で声楽とピアノ演奏をみなさんの前で演奏し盛大な拍手をいただき、嬉しかったです。

 院長(兄)がクリニックを開院する事になり私も少しでも手助けできたら・・・と思い医療事務の資格を取りました。 全てにおいて初めてで電子カルテ、会計処理の仕方患者様に対する接遇の仕方など、一つ一つが覚える事だらけの毎日でした。 医療も日進月歩でますます進化し続けますので自分自身も努力し続けて参ります。

 クリニックで声の大きい私です。 元気パワー全開で今後も嶋田クリニック30周年に向かって頑張ります。

      

♥ 看護師 山戸 直子 ♥

 今振り返ると、駆け足の二十年とも思います。 子育てをしながらの仕事、義理兄(四十歳でパーキンソン病発症、五十三歳で他界)の闘病生活を支え、義父・義母の看取り、長女の結婚(孫三人誕生〉。 自分自身も体調不良で二回入院、滲出性中耳炎にて両耳が聴こえなくなり、休ませてもらったり、夫の腰椎ヘルニアにて四ケ月の自宅療養と色々な事がありました。

 今の私が元気で頑張れるのも、中学卒業後大阪府立身体障害者福祉センタ―付属病院に就職し(全寮制、看護師としての教育を受けた原点)今も交流がある看護部長・リハビリや作業療法の先生・同じ釜の飯を食べた同級生、そして高校の友、前職場(美樹の園)の園長・職員、現クリニックの院長・副院長・スタッフ、患者さんとの出会い(18年勤務)があったからだと思います。 感謝の気持ちで一杯です。 健康寿命をより長くしてこれからも頑張って行こうと思います。 

 疲れたなあと思う時、孫の笑顔に元気をもらいます。 私達も患者様の少しでも心のより処になればと日々奮闘しております。これからも何かあれば伝えていただければと思います。

      

♥ 事務長 森永 真紀 ♥

 今から20年前・・と言えば、今とは全く違う金融関係のお仕事を、それなりに楽しくしていましたが、何か違う職種のお仕事もしてみたいと思う願望があり、退職後、医療関係にも興味があったので医療事務の学校へ通い、医療事務として医療に携る事になりました。 

 嶋田クリニックに勤務したての頃は、医療の事は全く分からず、患者さんとのコミュニケーションも上手くできず毎日が勉強でした。 そんな私を、周りのスタッフの方々が丁寧に色々指導して下さり、今まで続けてくる事が出来ました。 色々な講習会・勉強会などにも参加させて頂き、自分自身のスキルアップにもつながっています。 本当に感謝です。

 毎日忙しく奮闘していますが、少しでも患者さんに喜んで頂けるような心配りができるよう、事務スタッフとしてこれからもがんばっていきたいと思っておりますのでよろしくお願い致します。

      

♥ 看護師 長谷川 文子 ♥

 人との出会い・喜び・悲しみが昨日のように思い出されます。 平成15年6月からクリニックに勤務させて頂き、平成20年電子カルテ導入に伴い、どうにかパソコンも打つ事が出来るようになりました。 この10月には、開院20周年記念行事にも参加させて頂く事が出来感謝しています。

 10年前に晴天の霹靂とでも言いましょうか、主人が大病をして一時は死と直面する事に成り大変で困惑しましたが、お陰様で経過も良く、今では元気に過ごしていてくれています。

 その後実姉・義母・義兄・次男の義父との別れが有り、一時は大変でしたが、幸いにもクリニックでの仕事に専念する事で、気を紛らわす事が出来、立ち直る事が出来ました。 家族一同が、仲良く助け合いながら生きて行く事で亡き人に対する供養だと思っています。

 悪い事ばかりでは無く二人の息子達も結婚をして五人の孫にも恵まれ、これからは第二の人生をエンジョイしたいものです。

 皆様とのご縁に感謝し健康に留意しつつ素敵に年齢を重ねて行きたいと思っています。

     

♥ 事務主任 佐藤 雅代 ♥

 それまで一般事務しか経験のなかった私が医療事務にかかわるようになりおよそ20年が経ちました。 はじめの病院では受付業務のみでしたが、患者様との関わりが楽しくもっと色んなことを学びたいと思い大きな病院で委託職員として働きました。 その後嶋田クリニックで勤務するようになり10年が経ちます。

 はじめは覚えが悪すぎて泣きたくなることもたくさんありましたが、先生、スタッフ、患者様に支えられ少しずつ仕事も覚え、患者様とかかわれることが楽しく日々過ごしています。 これからも医療従事者として勉強し、少しでも患者様に信頼してもらえるように頑張っていきますのでよろしくお願い致します。

     

♥ 看護主任 佐野 亜紀 ♥

 この20年は子育ての渦の中で孤軍奮闘でした。 夫は帰りが遅く戦力外な上、一人で5回の引越しも有りました。 若い頃は仕返ししてやる! 将来絶対に夫の介護は放棄する! 先に死んでやる!と思っていました。 今は、そんな情熱?気迫?も無くなりました。 許すとか、諦めではなく、老化?飽き性?自分でも不思議です。

 でも、子育て中は社会人とは違った経験もできました。 下の子はアトピーが酷く、努力をしても効果が見えない日々でした。 周りの人の好意のバラバラな助言、セールス?を聞いて考えこみました。 知識が無いと混乱したり、個性的過ぎる治療に走ったりしてしまうよなと。 親切心が必ずしも相手の為になるとは限らないと勉強になりました。  また、ステロイドの使用が医師でも治療方針が違い、その当時は悩みました。 アンチ派の声を聞くと怖くなり、使用派の自分も気持ちが揺れました。 その頃、弱視、心雑音等余りに病気をするので変な壺も買いそうだな、貧乏なのでそんな心配が無くて良かったと思ってました。

 未だ、受験生も居て学費も含めてハラハラですが次の20年は落ちついた人生を歩みたい!

     

♥ 事務スタッフ 小谷 泉 ♥

 20年ってすごく長く感じるが、振り返るとあっという間に年を重ねていて自分の年齢にびっくりです。 改めて振り返ると、子供を中心に日々忙しくしていたような気がします。 子供の成長を喜んだり、どうしたもんだと悩んだり、私自身も親として社会勉強になったかなと思います。 子供が頑張っている姿を見て感動し、勇気づけられることもあり、今でも励みになっています。 この頃は、立場が少し逆転することもあり、嬉しいような寂しいような複雑です。

 嶋田クリニックでお世話になるようになってからも、早くも5年が過ぎ、スタッフの皆さんに助けられながら、日々何とか頑張っている感じです。 最近では、患者様にも顔をおぼえて頂けるようになったかと思います。 

 医療関係は初めてで、教わることがたくさんあり、すごく勉強になります。時々、自分の将来や家族に置き換えて考えることもあり、健康のために何か始めなければ思っています。

      

♥ 事務スタッフ 加藤 智美 ♥

 私には子どもが3人おりますが、20年前といえば下の子(息子)が1歳のころ。 上に幼稚園の年長と年中の娘がおり、ばたばた子育てに追われていました。

 2人から3人になりましたが、下の子は夜泣きが長く続き、1.5倍じゃなく2倍以上大変だと思っていました。 大丈夫かなと思いながら、下の子が寝ている間に、普通の自転車の前と後ろに乗せて、幼稚園の送迎に行ったこともありました。

 その後、ヘルパーの資格を取り、介護の仕事をすることになるとは思ってもいませんでした。 そして今は縁あって嶋田クリニックで受付事務をしています。 今まで本当に色々な人に支えられお世話になったと思っています。 今は親の介護に直面していますが、できることを精一杯していきたいと思っています。

    

 ♥ 看護主任 藤原 美紀 ♥

 私にとってこの20年というのは、結婚を機にお世話になった親元を離れて、生活が一変し、不安の中ではありましたが、幸せを感じることができたり、時には自分の思い通りにいかずに苦しんだりしたこともありました。 いろんな人との出会い、別れ、そしていろんなことを経験し、自分は常に誰かに支えてもらって生きていると感じて、自分の周りにいてくれる人達に感謝の気持ちでいっぱいです。

 このクリニックでお仕事を始めてからは特に、講演会などに参加する機会が増え、勉強させてもらってますし、また自分自身を見つめ直す機会を与えてもらって、考えさせられることも増えたように思います。 

 あと数年で子育ても落ち着き、またこれから自分の時間が少しずつ増えていくと思うので、常にこれからも感謝の気持ちを忘れることなく、いろんなことに挑戦していきたいと思います。

    

♥ 事務スタッフ 坂本 朝子 ♥

 この20年あっという間に過ぎたような、でもやはり長い年月でその中には、兄が亡くなったり、私自身も転職したりと色々なことがあり、50歳を過ぎました。 3歳だった甥っ子が、今では1児の父になり、2歳だった姪っ子は介護士として働いています。 

 去年の9月には高校の同級生と、20数年ぶりに会いました。 話す内容も以前はどこの店がおいしいとか旅行の話をしていたのに、その時は健康の話や親の介護の話と話す内容も変わり、改めて年を取ったのだと実感しました。 携帯電話もメールの機能が付いたばかりだったのが、今やスマホだのiPhoneなどとハイテクになり、かろうじてスマホを持っていますが私には操作が難しく何かわからないことが起こると姪っ子を頼っています。 本当にあっという間だったと感じます。

 まもなく嶋田クリニックで働かせてもらうようになって2年になります。 これからも、スタッフの一員として頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

    

 ♥ 看護師 住友 久美子 ♥

 20年前の私は法律事務所で事務員として働いていました。 お酒とゴルフ好きの陽気な先生や先輩から仕事の取り組み方や社会人としての心得だけでなく、人付き合いも含めた遊びなど様々なことを教えて頂き、社会人としての礎を築いたように思います。

 その間に身内の病気やお世話になった方が亡くなるなど病院との関わりが増え、自然と看護師に興味を持ち、8年前に一念発起し看護学校を受験しました。友人に恵まれ何とか2年間の学校生活を終え、看護師試験に合格した時の驚きと喜びは今でも忘れられません。

 3年前に結婚し、生活が落ち着いたこともあり、縁あって半年前から嶋田クリニックにお世話になることになりました。 在宅医療に携わるようになり患者さんや家族さんの日々の暮らしに触れ、以前勤めていた病棟勤務では気付けなかった患者さんや家族さんの在宅への思いを知ることが出来てやりがいを感じています。 まだまだ慣れないことも多く日々スタッフの皆さんや患者さんに支えられています。 これからも頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。

     


    

● 院長のあれこれ随想 ●

      

 この年末年始につれづれなるままに考えたこと・・・ 年末の慌ただしい諸業務が何とか片付き、まさに年が改まろうとする緊張感の中で、年始の準備をしながら1年を振り返るひと時がとても好きです。

     

 いまやスマホ等で検索すれば瞬時に情報が得られ、通販で何でも手に入る、どこか行くのもカーナビ等でお任せ、外国語の翻訳を簡単にしてもらう機械が出来、AI(人工知能)が人間の代わりにできることがどんどん増えていく・・・と、「ドラえもんの世界」が現実 になってきました。 

    

 しかし、ロボット技術が進んだ世界で、機械が人間に対して反乱を起こすも、弱体化した人間が何にもできないことが画かれたドラえもんの映画(のび太とブリキの迷宮)を子供が小さかった頃に見たことがありましたが、それが現実の問題となってきました。 

    

 また、最近読んだ本で蚕(カイコ)のことが書かれていましたが、カイコは絹糸を取るために人間に長年飼育されているうちに人間に全て頼ることとなり、飛ぶことも歩く力も葉につかまる力も全て失われ、自然界で生きることが出来なくなった唯一の生き物になったとのことです。 便利さの行き着く先が人間の能力の著しい低下にならぬ様にしなければなりません。

    

 今年は干支が「丁酉」の年でその意味合いを本誌冒頭で書きましたが、安易に便利さに頼らぬ生き方をせねばならないのではないでしょうか。(院長)