院内報「こころ」
Medical Journal KOKORO
はじめに: 医療の冬の時代を迎えて
医療の冬の時代を迎えて この4月から医療費の制度が改定され、まずは70歳以上の方は窓口負担が1回800円から850円へ引き上げられました。ただ、これは負担増の皮切りに過ぎず、半年後の10月からは70歳以上の方の窓口負担がさらに一気に増え(1割負担、年収630万円以上の人は2割負担へ)、来年4月からは70歳未満の人の窓口負担がすべて3割負担へと、政府案として予定されています。
一方、我々医療機関も、診療したことに対する収入が減らされる事になり、従来と同じ医療をしていては経営的に苦しくなる恐れが出てきました。
たとえば、じっくりと時間をかけて診療しても以前からほとんど評価されない現実がありましたが、今回の改定から“技術料”が引き下げられる項目が多く(技術料が引き下げられるのは至上初のことです)、十分な医療が出来なくなる医療機関が今後増えていく事が予想されます。患者さんの窓口負担が増える分、医療機関が儲かると誤解されている方もおられると思いますが、本来健康保険に請求する分を患者さんに請求するように振り替えるだけのことで、さらに、請求できる総額が上記のごとく減らされることとなりました。
小泉流に言えば『二方一両損』となります。医療制度の改悪に対して、患者の皆様に署名などをお頼みすることがあろうかと存じますが、その時はご協力をよろしくお願いいたします。
しかし、患者さんとしてはご負担が増える分、それに見合った医療サービスが受けることが出来ているのか、厳しい目で医療機関を評価することになると思います。皆さんから良いご評価を受けることが出来るよう、より一層頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。(院長)
診察室から・・
院長から皆様へのアドバイス *運動について
「病状の改善のために運動しょう」と言われても、「まとまって運動する時間がなくて・・・」という方も多いでしょう。でも「時間稼ぎ」運動というのはどうでしょうか。たとえば洗濯物などを運ぶ時にわざとちょっとずつ運ぶことで何往復もする、スーパーマーケットなどで売り場を移動する際にわざと遠回りする、など日常作業の中で運動量を稼ぐというのはどうでしょうか。
*偏食のつけは大きい
骨が弱くなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は特に女性の場合は加齢とともにかかりやすくなりますが、骨を強い状態に維持する働きがある女性ホルモンが、更年期以降減ってしまうためです。骨を丈夫にする薬がいろいろと出来ていますが効果 は不十分で、骨粗鬆症にならないためには、若い間にカルシウムをしっかり摂って骨をいかに丈夫にしておけるかいうことにかかっています。若い間から、魚介類や牛乳などをしっかりと摂取しましょう。
また、アルツハイマー型老年期痴呆はまだ原因がはっきり確定されていませんが、発病者では発病以前より偏食や少食を示す例が多く、特に魚と緑黄色野菜の摂取が有意に少ないという栄養調査の結果 が出ています。健康食品にいろいろ神経を使うよりも、いろんな食品を偏りなく適量 に摂ることがまず基本でしょう。
*自分の血圧を把握しましょう
高血圧が動脈硬化を促進して脳卒中や心臓病などにつながってゆくことはご存知と思いますが、医療機関で測る血圧だけでは不十分です。皆さんが考えておられる以上に、血圧は時々刻々と変動しています。できれば自動血圧計を電器店で買って、ご家庭などでの血圧を記録しておいていただくと診察に於いて非常に助かります。但し、(1) 血圧計は腕(肘関節より上)で測るタイプが良い、(2) 身も心も落ち着いている時に、座った状態で、測定する、(3)血圧が高いからといって慌てず、深呼吸を繰り返し、落ち着いた状態で10分位 たってからもう一度測定する(前述の通り、血圧は変動しやすいのです・・・)、以上の点を気を付けて下さい。
いつ測っても、上が135以上、又は下が85以上なら、高血圧の疑いがあります。詳細は診察時にご相談下さい。(血圧の変動に関しては、こころ誌No.16をご参照下さい)
新しい職員のご紹介
◎事務職員: 小林涼子
当院に勤めさせて頂いてから数カ月、まだまだ慣れず、スタッフの皆さんや先生方に親切・丁寧に指導して頂いて勉強する毎日ですが、楽しく働かせて頂いてます。クリニックに関する事はご通 院の患者様の方がよくご存知かと思いますので、お気付きの点がございましたらご指摘下さい。笑顔に努めたいと思いますので、未熟な私ですが、よろしくお願いいたします。
◎看護婦: 荒井幹代
クリニックで勤務して数カ月、あっと言う間の数カ月でした。外来・在宅医療...在宅の方が多かったかな...外来ではあまり顔を見ていただけないのですが、縦横大きい看護婦が私です。在宅訪問をしてとても驚いた事は、家族の方だけで介護をされているケースが多いという事です。私も一人の看護婦として、患者さん・ご家族の方の力になり、いろいろ相談をしながら安心して生活していただけるよう援助させていただきたいと思います。勉強不足もありますが、いっしょに頑張って行きませんか。よろしくお願いいたします。
各種 健診のおすすめ
当院で実施できるものについて
堺市が健診事業として行っているもののうち、下記の健診は当院で行っております。いずれも40才以上の堺市在住の方なら、年に1回、低料金(数百円。ご老人などでは無料)で受けることができますので、ご希望の方やお問い合わせは受付までお申し出下さい。
☆すこやか健診: 尿検査、血液検査、心電図(さらにご希望があれば眼底検査;但し眼科へご紹介)がセットになっています。ご予約の上で行わせていただきます。 ☆大腸ガン検診: 検便(2回法)にてチェックいたします。検査のための容器をお渡しし、後日持ってきていただきます。
☆乳ガン検診: 診察させていただき、乳ガンを疑わせるような所見がないかチェックします。精査が必要な場合は、精密検査のために専門機関をご紹介いたします。
堺市の健診事業以外にも、動脈硬化度の測定、腹部超音波エコー、24時間ホルター心電図、胸部X線撮影等、病態に即した精査もいたしておりますし、当院で出来ないものについては適切な機関をご紹介いたしますので、なんなりとご相談ください。(院長)
この冬を振り返って(院長の独り言)
1. 年末年始には感染性胃腸炎(いわゆる「お腹にくる風邪」)にかかる人が多かったなあ...嘔吐と下痢で点滴が必要な人が実に多かった。
2. この冬は、インフルエンザがあまり流行らなかったなあ。入院になった重症の人もいたけど。インフルエンザの疑いのある患者さんに、その場で判定できる検査が行なえるようになったので、インフルエンザと判定できた人に特効薬(タミフル)を迅速に処方できてよかった。
3. 春先の花粉症の人はやはり年々多くなっている印象だなあ。今年は昨年ほどスギ花粉は飛んでいなかったというけど、年々新たに花粉症になる人が増えているようだ...その背景はいろいろ議論されているけど...何故だろう。